咳喘息
咳喘息とは?
咳喘息は喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼーすること)を伴わず、咳だけが慢性的に続くものをいいます。
喘息の亜型であり喘息とは喘鳴を伴わない点で区別されます。成人では女性に多く、慢性咳嗽(8週間以上持続する咳)の原因疾患として我が国では最も頻度が高いとされています。
咳喘息の症状は?
咳喘息の症状は以下の症状があります。
- 喀痰を伴わない乾いた咳
- 夜間や早朝に咳が強い
- 症状の季節性(特定の季節により症状が悪化する事)がある
- 寒暖差や運動、喫煙(受動喫煙も含む)、香水、飲酒、雨天、花粉、黄砂などで咳が悪化する
咳喘息の診断は?
診断基準としては①喘鳴を伴わない咳嗽が8週間以上持続、②気管支拡張薬が有効の2点を満たすものとなっています。(3~8週間までの咳が続いている遷延性咳嗽であっても診断は可能ですが、3週間未満の咳では原則として確定診断できないとされています。)
呼気NO検査でNO値が上昇あれば補助診断として有用ですが、NO値が上昇しない低値例もみられます。
呼気NO値が低い場合でも、冷気による咳嗽の誘発や咳症状が日によって差があったり季節性があることが診断の参考となります。
咳喘息の治療は?
咳喘息の治療には、以下の方法があります。
症状、発作を予防する治療
- 吸入ステロイド薬
- 長時間作用性β2刺激薬
- ロイコトリエン受容体拮抗薬
- 抗コリン薬
- テオフィリン薬
発作を抑える治療
- 短時間作用性β2刺激薬
咳喘息の治療は気管支喘息と基本的には同様であり吸入ステロイド薬が薬物療法の中心となります。
咳喘息の約30%が気管支喘息に移行するため、吸入ステロイド薬で喘息に移行する事を予防できるので長期間の吸入ステロイド薬による長期管理が推奨されています。
咳喘息の予防は?
咳喘息の予防には、喘息と同じように以下のことに気をつけましょう。
- アレルギーの原因物質に触れないようにする
- 感染予防(ウイルス感染を防ぐ)
- 大気汚染を避ける
- 十分な睡眠をとる
- バランスのよい食事をとる
- 適度な運動をする
- 禁煙する
咳喘息の予後は?
吸入ステロイドを中心とする治療で咳嗽は速やかに軽快することが多いですが、治療を中止するとしばしば症状が再燃することがあります。
そのため長期に治療を継続することが重要になります。
当院の咳喘息の診療について
当院では、症状や経過、身体所見から咳喘息が疑われる場合はまずX線検査等を施行して咳喘息以外の呼吸器疾患や心疾患の除外を行います。
そのうえで肺機能検査や呼気NO検査などを実施して、専門的に咳喘息の診断を行います。
咳が長引く症状のある方、咳喘息の診断や治療でお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。