禁煙外来(ニコチン依存症)
当クリニックでは、日本禁煙学会認定指導医による禁煙外来を行なっています。
ニコチン依存症は治療が必要な病気です。禁煙の重要性と当院の禁煙外来についてご説明します。
ニコチン依存症とは?
ニコチン依存症は、タバコに含まれるニコチンによって引き起こされる依存状態です。ニコチンは脳内のドパミンという神経伝達物質の分泌を促進し、一時的な快感をもたらします。繰り返し喫煙することで脳がこの状態に慣れ、ニコチンがないと不快感を感じるようになります。そのために喫煙をやめられない、喫煙を繰り返してしまう疾患をいいます。
依存症の特徴は?
- 禁煙しようとすると離脱症状(イライラ、集中力低下、不安など)が現れる
- 自分の意志だけではタバコをやめられない
- 健康への悪影響を知りながらも喫煙を続けてしまう
実はタバコに含まれるニコチンは、コカインやヘロインと同様に強い依存性を持つ物質です。
喫煙による健康リスクは?
タバコには約200種類の有害物質と70種類以上の発がん性物質が含まれています。喫煙は以下のような様々な疾患のリスクを高めます。
呼吸器系への影響
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 肺がん
- 気管支炎
- 肺炎
- 喘息の悪化
循環器系への影響
- 心筋梗塞
- 脳卒中
- 高血圧
- 動脈硬化
- 末梢動脈疾患
その他への影響
- 口腔・咽頭・食道・胃・膵臓・腎臓・膀胱などの様々ながん
- 歯周病
- 早期老化
- 妊娠合併症(低出生体重児、早産など)
- 糖尿病の発症リスク上昇と症状悪化
また、受動喫煙によって周囲の方々の健康も害します。受動喫煙により肺がんのリスクが増加することが報告されていますし、特にお子様や妊婦の方が受動喫煙にさらされると、喘息や中耳炎、乳幼児突然死症候群などのリスクが高まります。
禁煙のメリットは?
禁煙を始めると、以下のような変化が現れます。
- 脈拍と血圧が正常に近づく
- 血液中の一酸化炭素濃度が低下
- 咳や息切れが減少冠動脈疾患
- 脳卒中のリスクが減少
禁煙は何歳から始めても効果があります。60歳で禁煙しても、寿命が延び、生活の質が向上します。「もう遅い」ということはありません。
禁煙外来の治療の流れについて
1.初診
- 禁煙歴や依存度の評価
- 呼気一酸化炭素濃度測定
- 禁煙に対する不安や疑問の相談
- 禁煙補助薬の処方と説明
2.再診(2週ごとに通院)
- 禁煙状況の確認
- 離脱症状や副作用への対応
- 禁煙継続のためのアドバイス
- 必要に応じて薬の調整
禁煙治療は5回の通院で完了します。
禁煙補助薬について
当クリニックでは、以下の禁煙補助薬を用いた治療を行っています。
ニコチン受容体部分作動薬(チャンピックス)
- ニコチン受容体に作用し、拮抗作用で喫煙による満足感を抑える
- 禁煙による離脱症状を和らげる効果がある
- 服用期間は12週間
- 成功率が高い禁煙補助薬
ニコチン受容体作動薬(ニコチネルTTS)
- ニコチン代替療法であり徐々にニコチン量を減らしていく方法
- 皮膚に貼るだけの簡単な使用法
- 離脱症状を緩和しながら禁煙を進める
注)現在はチャンピックスが出荷停止中のためニコチネルTTSのみとなります。
保険適用について
禁煙治療は、一定の条件を満たせば健康保険が適用されます。
保険適用で全5回の通院になります。3割負担の方で治療費は約13,000〜18,000円(薬剤費含む)です。
禁煙外来をご希望の方は、ぜひ当院にご相談ください。